FLY TO THE SKY:クギョファンと歩道橋と映画について

クギョファン

もう終わるけど本日7.28モガディシュ公開一周年!&インソンお誕生日!!

おめでとうおめでとう〜

ちょっと前にようやく劇場にモガディシュ見に行けました。
いやーおもしろかったーーー題材が題材だけにいろいろと考えてツライ場面も多いけどめちゃめちゃエンターテイメント!さいこう映画体験!
個人的にはやっぱりモガディシュはどこまでもユンソクの演技のトーンが、過剰になりすぎず、あるあるな感動南北物語にいきすぎずにバランスを保てている大きな要素で、そこが好きだなぁと思います。スクリーンで改めて見てひとつひとつのリアクションが良いな~、うまいんだな~と唸っちゃいました。ハンシンソン好き~。

これめっちゃ好き(ここ?) ア↑ネソ イ↑ロケ ブ↑チョヤデェ?!?!

ユンソク最高なのは置いといてクギョさんの、というか2×9の<FLY TO THE SKY>の話です。

演出: イオクソプ クギョファン
出演 :チョソンファン クギョファン

モガディシュのクギョさん、リュスンワン監督つったらこの短編のことを思わずにはいられんぜというわけで、、、
<FLY TO THE SKY>は2015年のソウル独立映画祭の開幕作で、2×9共同演出作です。この作品でふたりはアシアナ国際短編映画祭の国内コンペティション大賞等々を受賞しています(らしいです)。

概要は、革工芸の職人の道に挫折してイタリアから帰ってきたソンファンと、彼を迎える映画の仕事を辞めて重機の免許を取ったキョファン。夢を諦めて現実的に生きようとするキョファンを見てソンファンもまずは運転免許を取ろうとふたりは運転のレッスンを始めて~というお話です。

既存の短編だし、散々モガディシュ関連のインタビューでも触れられているのでネタバレにもならないと思いますが、物語の最後はキョファンがリュスンワン監督の<ベルリンファイル>演出部に呼ばれてベルリンに行ったところで終わります。
ヨーロッパがアフリカになったけど、この5年後に実際にリュスンワン作品に参加するためにクギョさんは免許も取ってモロッコに行くわけですよ……いや、何度も言及されてることを今さらアレなんですけどこのエピソード夢があって好きなんです。現実が映画より映画だ~。

リュスンワン監督の次期作<モガディシュ>の撮影を終えたところだと聞いた。

映画に対するリュスンワン監督の愛情を体で受け止める特別な経験だった。リュスンワン監督の長年のファンだ。2015年に僕が演出した<FLY TO THE SKY>という短編映画にはリュスンワン監督の演出部として参加するためにベルリンへ飛ぶクギョファンという人物が登場したりもする。<モガディシュ>に参加するために撮影地のモロッコへ出発する日、映画が必ずしも映画の中でだけ存在するわけじゃないんだと思った。

2020.09.23 W KOREA’ 교환의 방정식 (구교환)

リュスンワンはミジャンセン映画祭の審査員をやっていたりする中でもともとクギョさんのファンだったそうですよ。
モガディシュ公開時のクギョさんのインタビューを読んでると2014年のソ独祭の開幕作<연애 다큐>にリュスンワンからコメントもらったこともあるみたい。

以前にも声をかけたことあるけどタイミングが合わなくて、三顧の礼の末にモガディシュでクギョさんをキャスティングできたリュスンワン監督。テジュンギをクギョさんにしてくれてありがとうだよ~。

<FLY TO THE SKY>はリュスンワンとの縁の話だけでなく、クギョさんの映画(=夢)に対する考えが反映されているところが好きなんですよねえ。

こないだ本国クギョペンの人のツイで知ったコラム
[Opinion] 언제든지 이별할 수 있다 [사람]
https://www.artinsight.co.kr/news/view.php?no=60699
クギョさんファンのアートインサイトの編集の方が書いたコラムです。
これの訳をやる気はないですがイイ話なのでぜひ読んでいただいて…
このコラム見て<FLY TO THE SKY>やっぱいいよね…とブログを書き出したんだった。

このコラムでも紹介されているのが、Cine21キムヘリさんのインタビューでの<FLY TO THE SKY>内に登場するセリフについての質問です。

<FLY TO THE SKY>という賞をたくさん取った短編に『夢が変わることは恥ずかしいことではない。恥ずかしいのは夢が無いことで、もっと恥ずかしいのは夢を言い訳にして人生を台無しにすることだ』というユクサンヒョ監督の文章を人物が引用したセリフがある。これはクギョファン個人が映画に対して持つ態度なのではないか?映画の祭壇に人生を捧げようと必死にやっているんではない、というような?

=来年には何か違うことをしているかもしれない。崩れ落ちないようにずっと自らに注入式教育をしているみたいだ。『これが自分の全てではない。今俺は映画をすごく愛しているけれどいつだって俺たちは別れることができるし、それに対して喪失感を持たないようにしよう』と、ずっと自分を訓練させている。そうしないとすごく不幸だと思う。自分は映画を勉強して、演技を勉強してきたからといって必ずしもこのまま進まなければいけないだろうか。自分が勉強したことを使わなかったとして人生を浪費したことになるだろうか。絶対に違うと思う。 

だが、そんな言葉を残して劇中では主人公はリュスンワン監督の<ベルリンファイル>の演出部に抜擢される(笑)

=(笑) それもまた僕の思いだった。 だからある瞬間から、判断を下さないようにしようと、自分はいつでも心変わり・変化することができて、それを否定的に考えないようにしようと心に決めた。

2021.09.02 cine21 김혜리의 콘택트

この話はインタビュー動画のほうにも入っています。(19:30あたりから~)

動画内でクギョさんは、『いま映画をものすごく愛しているけどもそれが自分のすべてではない、必ずしも映画の道を進み続けないといけないわけではない』そういう思いが一番強かったのが<FLY TO THE SKY>を撮っている時期だったと言っています。

映画の中の『歩道橋は揺れなかったらだめだろ、折れるじゃん』というセリフが最後まで見たときに印象に残ります。これはソンファンとキョファンふたりの青年の夢に対する状況のことを比喩的に示してる表現でもある(と思う)んですが、ふたりのようにクギョさん本人も映画の夢に対して揺れていたし、夢に没入しすぎてそれが人生のすべてになることを警戒しているんだなぁと。
クさんにそれこそ没入し始めてすぐの頃にこのインタビューを見て、その時は意外な感じがした。

こういうクギョさんの映画への態度は<FLY TO THE SKY>当時から今も変わってないのが直近の他インタビューでもわかります。

映画人ではないあなたの人生を想像してみたことはあるか?

映画、映画、しないように努力してからかなり経ったと思う。僕に取って映画はもちろん重要だけどいつでも旅立つことができるもののように感じる。自分の人生に抱えて行かなければいけないものではないんだと考えている。そうすれば傷が大きくなりすぎない。映画に喰われない人生の態度を保っていきたい。野望の歳月を送ることより、ただ映画とともに過ごして『オレ、行くな~』と言っていつでも別れることができる関係で居続けたい。

2020.09.23 W KOREA’ 교환의 방정식 (구교환)

映画を抜いたら俳優クギョファンには何が残るだろうか?

とてもたくさんのものが残るでしょう。映画として僕という人間が物語になることは喜ばしいことですが、時々『そこまでじゃないけど』という気持ちになります。僕がそう『映画、映画』している人間ではないです。いま、告白できそうです。『俺は実はお前をそれほど好きじゃない』(笑) 好きなことをしていますが、それ以外にも愛情を持っている様々なものがあります。ある一つのことにのめり込んで崩れ落ちないようにしています。それが映画だとしても。以前にあるご年配の方が言って下さった言葉があります。『君を、君の人生を映画と交換するな』 その言葉を聞いた瞬間、いまの姿勢が作られたように思います。

마리끌레르 BIFF 2021 특별판

ずっと映画仕事をしてきて、商業に来てからも作品にも恵まれて、なんか全部うまく行っているようにオタクからしたら思えてしまうんですが、いつかそうやって映画を諦めるときが来るかもしれないし心変わりするかもしれないと常に考えているんだなと驚きつつ、切なくもなりつつ。でもなんかクギョさんらしい健康的な思考のようにも思います。

だけどそうやって揺れながらもああして、巨大資本プロダクションしかもオール海外撮影の映画に参加して映画を撮るところまで辿り着くんだねぇと勝手に感慨深くなったりするわけですよ。

そんなモガディシュもシネコンでは上映終わりつつあるけど小さめ劇場と地方ではあと少し見れそうな感じですかね。テジュンギをスクリーンで見れるのもあとわずか~もう一回くらいはどうにか見たい!

そして明日はなまず(메기)の日本公開~こっちもスクリーンで見れるの楽しみ!
オクソプ監督インタビュー字幕をあげたもののまるで見られてないので、お暇な方見てくださいヨ。

そしてなまず公開にあわせて7月29日からJAIHOで2×9作品の字幕版4作品も配信開始ですよ。
https://www.jaiho.jp/video/tag/library/feature/57/
<FLY TO THE SKY>も配信されます。10月末までの限定配信みたいなのでお見逃しなく~
<왜 독립영화 감독들은 DVD를 주지 않는가?>の邦題だけなんかなんで変えたんだろ?って感じだけど…直訳のほうが映画の意図が出てるくないか?
だがしかし日本語配信してくれるだけでありがたいので文句なんて言いませんJAIHO様様!なまずも公開終わったら小公女みたくずっと配信対象にしてくださいませんか。

あぁ、パングポン効果でなまずパンフレット早めになくなっちゃう気がしてきた。初週に行けるかな~

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